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「母様、何のお話?」
「さくらの将来について」
「えー、さくらをお嫁に貰ってくれる人って居るの?」
「絶対に居るわよ。さくらを心から愛してくれる方が」
血みどろの戦場より、さくらには笑顔が似合うから…。
小夜は常日頃からそう想っている。勿論、夜一もだ。
両親が気になったさくらは、大好きな母親に近付き、頭を撫でられながら聞いた言葉に照れ臭そうな笑みを浮かべていた。
幸せな時を過ごしながら、数年があっという間に経った。
12歳になったさくらは段々と大人びていくにつれ、父親に武術や剣術を教わった。
運動神経が良いのか、さくらは早くも父親より強くなってきた。
稽古から帰って来たさくらは、一目散に母親の元へと向かった。
部屋に着けば、待ったなしに襖を開けながら嬉しそうにしていた。
「母様聞いてくれ。俺、やっと父様に勝ったんだぜ」
「まぁ、強くなったわねさくら。それに、口調がいつの間にか昔の殿にそっくりよ」
「そうなのか?」
「えぇ」
裁縫をしていた小夜の隣に行き、座りながら報告をしたさくらは、褒めてくれた事に嬉しかったのか満足そうな笑みを浮かべていた。
昔は小夜も薙刀を振るい城を守っていたが、さくらが産まれてからは家事等に専念した。
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