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夕刻
政宗は相変わらずさくらの手を握ってからはぐれないようにしつつ城に戻った。
「飯の時間になったら呼びに来るからな」
「分かった」
彼女を部屋まで送り、軽く頬にキスしてから政宗は自室に向かった。
さくらは政宗を見送ってから部屋の襖を閉めれば、それと同時に彼女への殺気が強まった。
自分への殺気にさくらは、小さく溜息を付いてから襖を開けて敵を待った。
「桂木さくら、お命頂戴する」
敵の忍数人が出て来た同時に、彼女へと害意を持って忍刀を振り下ろした。
「……しつけぇぞ」
いつの間にか目を閉じていたのか、そのままの状態でさくらは冷たく言ってから、目を開けば金色に光らせた瞳術で瞬く間に忍数人を自害させた。
自刃した忍数人見ず、さくらは目を閉じれば元の紫眼に戻した。
「さくら、何があった?」
丁度呼びに来たらしい政宗はそれを見ていたのか、状況を彼女に聞いた。
「……何でも無ぇよ」
なるべく瞳術だけは知られたくなかったのか、さくらは政宗から顔を逸らしてから冷たく言い放った。
彼女の横顔を見て、政宗は寂しそうにしていると感じた。
「…今のは敵に知られたくねぇんだろ?だがな、オレには話せよ」
「…お前らもいつかは俺を一人にする。まだ信用出来ねぇお前に話したって仕方ねぇだろ」
さくらは無意識に紫眼を悲し気に濁らせながら、政宗に言ってから部屋の襖を閉めた。
「……嘘が下手だな」
彼女に冷たく言われても、政宗には自分を一人にしないで欲しいと聞こえていたかも知れない…。
「…政宗様、お話が有ります」
「Ah?」
後ろから来た小十郎からの言葉に政宗はそちらを見つつ、少しだけきょとんとしながら待った。
「貴方様が連れて来られた彼女…桂木さくらですが、どうやら彼女は小国の姫だったそうです」
「reality?」
「本当です。小国の姫でしたが両親を戦で亡くしてます。彼女の城へと攻めた敵軍の大将が松永みたいです」
「…成る程な。なら尚更あいつを一人には出来ねぇな」
政宗は腹心からの話に、腕組をしながら考えた。
「それと、先程彼女の部屋前で死んでいた忍を見ましたが、政宗様が斬られたので?」
小十郎は少しだけ気になった事を政宗に聞いた。
さくらがやったとは知らず…。
「オレじゃねぇ、さくらだ。あいつにはまだ聞かないといけねぇ事が有るな。」
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