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「…変わってるな…」
自分の事を全く怖がらない政宗に、さくらは少しずつだが心を開いていた。
「だからよ、オレを頼れ。アンタ一人が悩み事を抱え込む所なんざ見たく無ぇからな」
「……努力する」
頼って欲しいと言われれば、さくらはまだ躊躇ってしまうのか承諾は出来ずに居た。
「飯行こうぜ」
「あ、あぁ」
立ち上がった政宗からの言葉にそちらを見つつ小さく頷き、自分も立ち上がってから部屋を出た。
夕膳を食べた後、さくらはそそくさと部屋に戻ってから襖を閉めた。
今まで仲間というのを作ったことが無いのか、賑やかな場所が慣れないらしい…。
「(あいつだけは違う気がするな…)」
出逢ってまだ間もないが、さくらは自分に気を掛けてくれる政宗に少しだけ興味を持ち始めた。
夜は夜で、いつ敵に寝首を掻かれても可笑しくないと警戒しているのか、夜風に当たろうと外に出た。
夜風に当たる為、中庭に来ればさくらは夜空を見上げた。
丁度満月だったのか、月明かりが眩しいため目を細める。
「まだ起きてたのか」
「…あぁ」
彼女の様子を見に来たのか、政宗は中庭に居た彼女を見付ければそちらに行ってから声を掛けた。
「眠れねぇのか?」
「…そんな所だ」
政宗からの問い掛けに、さくらは肩を竦めてから言いつつ少しばかりぼんやりしていた。
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