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姫が戦う理由
翌日
伊達軍は帝の足利義輝を狙いに奥州から進軍を開始した。
「政宗様が彼女を戦に同行させるとは…味方の中にはまだ彼女に疑念を抱いている者も居ますのに…」
「オレが決めた事だ。第一、さくらが敵じゃねぇ事はお前が良く分かるだろ?小十郎」
「それは承知しております」
「心配すんな、あいつはオレが見込んだgirlだ。オレはさくらを見捨てねぇからな」
傍に来た腹心の小十郎からの言葉に、政宗は腕組をしながら愛馬を走らせたまま、ばっさりと言い切った。
自分の事を言われているとは知らないさくらは、与えられた馬を走らせながら内心で何かを考えていた。
「…彼女の瞳術だけは敵に知らされないようにしなくてはなりませんな」
「そうだな」
小十郎はちらりと気付かれないようさくらを見てから政宗に言った。
彼女の術を知っているのは幸いにも自分達だけな為、もし敵に知られたらそれこそ彼女の力を悪用しようと狙ってくるに違いないと小十郎は考えている。
自分はまだ彼女の力量を知らないが、刃を交えた政宗からの話では少しだけなら信用しても良いかもしれないと…。
自分とて、主君が迎え入れた以上彼女を仲間として見つつ、主君同様傷付けはしないと思っている。
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