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彼女を狙う敵
政宗が小十郎と話しているとは知らないさくらは、部屋で一人暗い顔をしていた。
自分が居た城に攻めてきた敵が動き始めたと感じている。
「さくら、今良いか?」
「……あぁ」
政宗からの問い掛けに、さくらは少しだけ躊躇ったがそちらを見ながら入室の許可を出した。
彼女からの言葉に、政宗は襖を開けてから中に入り彼女の前に座った。
「アンタ、princesだったんだな」
「……昔の話だ」
「アンタはさっきオレ達がお前を一人にすると言ったが、オレは絶対お前を一人にはしねぇよ。お前はオレが必ず守ってやる。」
政宗からの言葉にさくらは何も言えず、俯いた。
優しさが彼女にとって刺の様に痛いのか、目元に暗い影を落としている。
「…気持ちだけ受け取っておく」
「そうか…そう言えば気になったんだが、さっきのは何なんだ?」
「あれは瞳術と言ってな。俺に害意を持って向かってくる敵を自刃させる技だ。幸いにも敵軍は俺の瞳術を知らねぇ」
「成る程な」
彼女からの言葉に政宗は尚更さくらを守り通さなければと想いつつ、敵に彼女の瞳術だけは知らされないようにしなくてはと考えていた。
「…怖くないのか?俺が」
「んな事無ぇよ。アンタを怖がる必要が無ぇからな」
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