死の山を越えて

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死の山を越えて

 スッスッ、と針が生地を通る音は規則正しい。この日のために用意された純白の滑らかな生地。手触りを楽しみながら一針一針刺繍を楽しみたいが、それほど余裕は無い。  せっせと裾の刺繍を入れつつ、黙々と袖にレースの縫い付けを手伝ってくれているヘレナとそっと目を合わせる。 「ごめんなさいね、ヘレナさん。帰国早々に……」 「いいえ、ホリーさん。私たちの大切な妹のためだもの」  ニッコリ微笑むヘレナの落ち着きは、本当に落ち着いていて大人の女性の見本として憧れる。  一緒にせっせと準備しているのは、アンナのための花嫁衣装だ。  大好きな幼馴染であり兄的存在であったカティスがようやく医師免許を獲得し、救助隊の新しい部隊を率いるために首都から戻ってきたのだ。  三年もの間一途に待ち続けたアンナに、カティスは迷わずプロポーズして二人は晴れて夫婦となる。  ホリーは自分の時と同じデザインのドレスを作って妹のように大切に思う友人の門出を祝いたかったのだが……。  バタバタと光の国へ行くことになってドレス作成の進行がとてつもなく遅れてしまった。そこで頼れるヘレナ・ナナ・ミーナと姉のように慕う友人達に声をかけたのだ。 「ごめんねぇ、ホリーちゃん! とても抜け出せないのよ、食事だけでも差し入れさせて!」と、最近メニューを増やして忙しい食堂の手伝いでてんてこまいのナナ。 「ご、ごめんなさい……わ、私、実は、お裁縫だけは苦手なので……せめて、他の家事をお手伝いさせて頂きます、本当にごめんなさい」と、なんでも完璧にこなすと思っていたミーナのまさかの弱点。  二人の姉妹は責任を感じてか、ホリーが作業に没頭できるよう、家の家事を分担してこなしてくれた。  そして……。 「水くさい娘ね、私にも手伝わせなさい」  と、一番忙しそうで声をかけづらかった母リリーが颯爽と駆けつけてくれた。  ドレスは既に形としては仕立て上がっているが、各部に施す刺繍が尋常な量ではない。  宝石の煌めきなど無いが、ツルツルした美しい絹糸で施す刺繍が輝きを放ち、身にまとうと花嫁は本当に花のように引き立つ。  ホリーが幼い頃から憧れていた、母のドレス。同じようにアンナも憧れていて、アンナのご両親に頼み、ホリーがドレスを仕立てる許可を貰っていたのだ。  本来なら嫁いで行く娘のためにご両親が用意したかったことだろう。それなのに快く頷いてくれただけでなく、ドレス作成費の全てを賄った上に作成しているホリー達にも「お礼に」と謝礼金を包んでくれた。  謝礼金は断ろうとしたホリーだったが、 「頂いておきなさい。頂いたお金で、何かお祝いを作って差し上げたら良いわ」と母が背を押してくれたので、ありがたく頂いた。  三人でドレスのそれぞれに刺繍を入れながらよもやま話に花を咲かせる。  母は領主であるアルムの館で働いていたが、バリバリと働いてメイド達を超一流の立ち居振る舞いに仕込みきって、手が空いてしまった。  そこで、女主人であるローザの命という名目で女性の自立支援を助ける機関運営を任されたらしい。 「貴方達にも手伝って貰うから。特にホリーはこの貸しを返しなさいよ」 「はいはい! 母さんの貸しはとっても怖いからさっさと返します!」 「フフ、素敵な施設ですね。もちろん喜んでお手伝いさせて頂きます」  それぞれにやって欲しいことをテキパキと伝えながら母の手は手際よく襟元の細かな刺繍を刺していく。  母はこの国にしては珍しい自立した職業に就く女性とあって、変な詐欺師紛いの輩が声をかけてくることもあるらしい。  そこは、館の執事を引退して息子に譲った後、黙々と法律を学び弁護士の資格を取った元同僚が助けてくれるとか何とか、早口で言っていた。  ヘレナがコソコソと、 「執事さんは、リリーさんが好きなんです。リリーさんの方も、ちょっといい感じなんですよ」 「……そこのところ、後で詳しく!」 「ホリーさんのクッキー生地と、鹿肉ステーキの仕込み方法で手を打つわ」 「乗りました!」  聞こえているわよ!と、耳まで真っ赤にしながら、それでも手を止めずに母は怒ったフリをしている。  親子のような姉妹のような三人で仲良く力を合わせて仕立て上げたドレス。いよいよ明後日、アンナは嫁いで行くのだ。 「カティスさん、今度アンナさんを泣かせたら本気のアーニャをけしかけてやるわ」 「あら、じゃあ私も加勢しますね。一瞬息が止まるくらいの勢いで投げ飛ばしてやりましょう」 「素敵ね、嫌味用の腹下し薬を花嫁道具に持たせてあげましょ。自分で治せるから平気よね」 「母さんのが一番えげつないわね」  クスクス笑いながら、ホリーがドレスの最終チェックをしていると、母はまじまじとホリーを見つめてきた。 「なぁに?」 「ホリー、体を冷やさないように注意しなさい」 「え? いつも気にかけてるよ? 元気の秘訣って教えてくれたじゃない」 「うん。特に気をつけなさい。ホラ、貴方最近まで違う国にいたのよ。帰国後は準備だなんだでバタバタして気が張り詰めているけど、疲れがドッと出るかも知らないから」 「うん? わかった」  心配しているわりに、ニコニコ上機嫌の母。ホリーは首を傾げつつも頷いた。  そういえば、最近……アーニャとルナ、ふたりの狼姉妹もおかしいのだ。いつもはアーニャだけがホリーに寄り添って眠るのだが、家にいる時はルナも一緒になって眠る。  おかげでぽっかぽかで、ホリーは幸せいっぱいなのだ。  それに、ちょっと重い箱を持ち上げようとすると直ぐに止められ、他の人が代わりにやるまで「ガウガウ」ごねる。 (異国にいたから、ふたりとも、ちょっと赤ちゃん帰りしているのかしら?)  などと思いつつ、ホリーはせっせと刺繍に集中していった。  慌ただしくも浮き足立って、カティスとアンナの結婚式は幕を開けた。  カティスは首都から戻った後、救助隊に救護班を立ち上げるため忙しく駆け回っており、とても式の準備どころでは無かった。  そんな中、アンナが一人で駆け回って準備を進めて、今日を迎えることができたのだ。  カティスの親友として出席したクラウスと共に、ホリーは式が始まる前から泣きそうだ。 「良い式だな」 「うん、素敵ね」  永遠を誓う儀式を、二人は野外で執り行った。春になったばかりで、まだ寒さが残っているが凛と咲き誇るスノードロップが一面に広がって、アンナは花の妖精みたいに見える。  カティスの隣には彼の相棒であるカルロスが、アンナの隣には聡明な瞳が美しい猟犬が連れそう。  なんとカティスと共に帰還した恋多き男カルロスが一目惚れして猛アタックの末に、ついにお付き合いを開始した、優秀な猟犬だという。  何だか見覚えのある子だな、と思っていたら、彼女と共に式に参加した猟師を見て思い出した。  クラウスが訓練生だった頃、迷宮に閉じ込められてしまったことがあり、その時内部の状況を探るために呼ばれた、この国で一番の耳を持つカイルの猟犬だ。 「凛々しい子だと思ってたけど、女の子だったのね」 「ウチのルナだって女の子じゃないか」  クラウスが言うには、猟犬は女史であることが意外と多いそうだ。  女子の方が共感力が高く、相棒の思うところを察してサポートしてくれる性質の子が多いため、人を助ける気質が強いことが多い。  もちろん、個性があるので一概には言い切れないが。  救助隊員の結婚式に相棒が出席することは当たり前のことだ。自分の伴侶となる人と、相棒の仲が悪いのは絶望的である。  現に、救助隊員の離婚理由トップスリーに入るのは『相棒と仲が悪いこと』なのだ。  そして、カルロスのように相棒の伴侶が同席することも珍しく無い。  ホリーの結婚式の時は、ルナがまだ幼いために伴侶とまではいかないが幼馴染の狼が連れ添ってくれた。  クラウスが懇々と、 「良いか? お前の同席は認めるがルナとの仲を認めたという訳では無い。お前達はまだ幼く、友であるというだけで認めた訳じゃないからな」  などと凄んでいた。キョトンとして目を瞬かせる姿が可愛らしい、まだ幼い男の子なのに、クラウスは面倒な父親みたいになっていて笑いを堪えるのが大変だった。  ルナと一緒に結婚式に出る狼は争奪戦だったようだ。ルナは雪の精霊のように美しい子だし、幼いながらすでに女王の風格。  狼男子の中でモテモテらしいのだ。まだお相手はいないし、弟のどちらかを……なんて言うクラウスそっちのけで、子狼たちなりの必死なバトルが、自宅の庭で繰り広げられた。  結局、ルナが指名する形で落ち着いた。ルナが指名したのは、一番仲の良い幼馴染だったので、周囲は納得。  一人、クラウスだけが納得していない。  ブツブツ文句を言うクラウスを尻目に、ホリーは遊びに来てくれた狼達に美味しいおやつを振る舞い、久しぶりに抱っこする弟くん達の逞しい姿に感動していた。  などと自分達の結婚式に思いを馳せている間に厳かな誓いの儀式は終わった。  後は、気楽な立食パーティーとなる。  ホリーは早速、クラウスと連れ立って二人の元へ向かった。 「カティス、アンナさん、おめでとう」 「おめでとうございます」 「クラウス! ホリーさんも。今日は来てくれてありがとう」  戻ってきたカティスは「切る暇も無くて」と背中に届くほど髪を伸ばしており、結婚する前に切る予定だったが、アンナが猛反対。  長い髪のカティスは学者のように見え、とても救助の最前線で働く逞しい隊員のようには見えなかった。  そして、とてつもなく似合っていた。アンナが反対する気持ちが分かる。  結局、後ろで縛っていれば邪魔にはならないという理由で納得した(ゴリ押しに負けた)カティスが従う形で、長髪のままとなった。  辛うじて、肩に届くくらいまで切ることは許されたようだ。  毎日毎日、お手入れをしてあげるのだとアンナは張り切ってすごく良い櫛を買って丁寧に漉いてあげているのだという。  それは、ちょっと羨ましい。クラウスは短めに切っているから分かりにくいのだが、髪質が柔らかくてとても気持ち良い手触りなのだ。  クラウスも髪を伸ばしてくれれば、同じようにできるのに。それなら、ホリーも秘蔵のへそくりでとっても良い櫛を買ってしまうだろう。  ニマニマしてしまったらしく、唇を尖らせたアンナに小突かれてしまった。 「もう、またクラウスさんのこと考えてるでしょ〜。今日の主役は、ホリーさんの可愛い妹分の方なのよ!」 「はいはい、ごめんなさい」  助っ人を頼んで必死で仕立てた甲斐あって、今日のアンナは一際可愛らしく美しい。控えめだが繊細に輝く刺繍のドレスは、国中の女子が憧れるデザインだった。  ホリーがウェディングドレスを着た絵姿が首都にまで出回り、 「狼王の嫁が着ていたドレスと同じデザインを」  と、注文が殺到したらしい。なんと次期公主となられるシグルド様の婚約者、マグノリア様までも同じデザインのドレスを夜会にて披露されたとか。  今や流行の最先端なのだ。同じデザインを発注しても手に入るのは一年先のこともあるそう。  アンナの魅力を引き立てるよう、仕立てにもこだわり抜いただけに、周囲のどよめきには鼻が高くなってしまいそうだ。 「やっと、お腹いっぱい食べられるわ!」 「無理しなくたって、大丈夫だったのに」 「だって、今日のためにいっちばんキレイなお嫁さんになりたかったんだもん」  ドレスはキッチリと採寸してアンナにピッタリ合うものを作ったため、ある程度の体型維持は伝えておいたが、アンナは大好きな揚げ芋も我慢して完璧なウェイトコントロールに努めていたのだ。 「お塩をたっぷり振って、揚げたてのお芋を食べたい!」 「はいはい、取ってきてあげる。お母様が心配してたわよ?」 「カティスにキレイだよって言って貰うためだもん、なんでもできる!」  幼馴染の妹気質は消えないが、恋に一途なアンナはカティスのためなら、と本当に何でも頑張れる凄い子だ。  救護班を率いるために戻るカティスを支えるには多少の知識も必要と、薬師の補佐として働いているミーナから指導を受け、簡単な応急処置から緊急時の対応まで懸命に努力を重ねて身に付けた。  もちろん花嫁修行にも手を抜かず、しっかりと実家の切り盛りをして皆が寝静まった後に貸してもらった医術書を読んで、とそれはもう健気に頑張ってきたのだ。 「カティスさんがやらかしたら、一番に私に言ってね?」 「うん、もちろん! アーニャちゃんと一緒にお願いね!」 「ガウガウ!」  任せなさい、とばかりにアーニャも鼻息が荒い。アーニャにとっても、アンナはかわいい妹分だ。 「恐ろしい相談をしているけど……俺はもう、絶対にアンナを泣かせたりしませんよ、ホリーさん」 「どうですかね? 帰ってきてから相当数のラブレターを貰ったって聞きましたよ?」  ついでにカティスの実家にまで押しかける女性多数。彼はアンナに対して誠実な男性だが、異様にモテるのだ。 「……お前だな、カルロス」 「クォン?」  花嫁に心配をかけないよう、カティスは懸命に口止めに励んでいたようだが、肝心の相棒を放置してしまった。  犬界で一番の自称女たらし、カルロスは女子から聞かれたらペラペラ情報を漏らすのである。  カルロス、アーニャ&ルナの美狼姉妹タッグ、クラウス通訳からのホリーに至る。 「さすがホリーさん! 頼りになるー! 浮気なんてしたら、アーニャちゃんが黙って無いんだからね!」 「グルル!」 「クゥン」  凄むアーニャの隣に、そっとカルロスの伴侶が連れ立った。  アンナは更に心強い味方を得たようだ。 「皆、俺はアンナを絶対に大切にする。何に誓っても、それは絶対だ」 「カティス……」 「アンナ、愛しているよ。怒ったところも可愛いけれど、俺はアンナの笑顔が一番好きだ」 「あ、あたしも、あたしも、カティスの笑顔が一番好き」  二人の世界になってしまったので、皆でよそ見をするしかない。  会場には、二人の友人達や親族、救助隊のお偉方も多数顔を出している。交代制勤務である救助隊員達は、時間を決めて顔出ししているようだ。  この日のために休みを取ったのは、救助隊探索部隊(主に迷宮の地図作成・新規ルート開拓・迷宮内救助を担当)を率いるミゲル隊長だけである。  カティスは彼の直属の部下となり、新しく編成される『現場に向かう医療班』救護班を率いることになっているからだ。  今まで救助隊員達はたくさんの命を救ってきた。  だが、その中でも医療処置が間に合わずに命を落とす要救助者も多かった。又は、救助に向かった隊員が対処が間に合わずに命を落とすことも。  全てを解決するには、救助の現場に医療知識のある者が同行することが必要だ。  この考え方は、これからの救助隊の在り方すらも変える素晴らしい変革なのだとクラウスは自分のことのように誇らしげに語っていた。  通常の医療知識だけでなく、救助隊員としての身体能力も同時に要求される隊である。希望者は殺到しているが、今のところカティスが見込んだ訓練生は二人だけだ。  その二人は、ホリーとも縁のある少年たちだったので驚きと共に納得もした。  聡明で機転がきいて、知識を活かすことのできる子達だったから。  たまに家にも遊びに来てくれて、訓練の様子など面白おかしく話しては家を賑わせてくれる。  あの子達が立派な隊員になるのは間違いないが、更に凄い部隊を盛り立てていくことになるなんて、ホリーも何だかワクワクしてしまう。  和やかに話しながら、ホリーも大好きなブルーベリータルトを食べようとした時。 「ウォオオオオー」  北の山脈から、狼の遠吠えが聞こえた。途端にホリーの足元にいたアーニャとルナ、隊長達と語らっていたクラウスが緊迫する。 「どうしたのだ」    救助隊の責任者であるルーク教授に問われると、 「山を越えてきた者がいるようです」  クラウスの答えに、隊員達に緊張が走る。  ホリー達の暮らす土の国は巨大な山脈に守られている。隣接する火の国とも山脈によって遮られており、国交は極めて困難だ。  唯一、首都にある港が他国との交流を繋ぐが、この迷宮の町へ直接繋がる道は山道しか存在していない。  それも、永久に凍りついた死の山だ。  天候をよく読み、万全の体制で臨んでも危険が伴うため、火の国との交流は隣接しているのにも関わらず大陸を大きく迂回して港に回ることが一般的だ。  そのため、山を越えてくる者の目的は大きく二つ。  許可を得ず国境を越える犯罪者か、死に物狂いで逃げてきた亡命者か。  昨今は亡命者が増えており、死を覚悟してまでも国から逃げねばならない状況について、正式な抗議と調査の依頼を何度も立てている。  火の国は今、軍師の跡取りを競う二大権力によって真っ二つ。特にアルシン率いる国粋主義派は、厳しい身分制度を強いられて、生活することもままならぬ状況。  どちらにせよ、早急に確認する必要がある。 「私が先導致します」  クラウスは手早く身支度を整えた。隊員達は皆、救助隊員の儀礼服を着ているが、この儀礼服は装飾を簡単に剥ぎ取ることができ、直ぐに救助へと移ることができるのだ。  剥ぎ取った装飾を受け取ったホリーは、 「気をつけて」  と短く伝える。狼の言葉を解することができるのはクラウスだけだ。 「俺も行く。ルーク教授、ウィルとジャンの同行を許して下さい」  花婿であるカティスも又、身支度を整えながら訓練生の名を口にした。 「わかった。フェルナンド、通達を」 「はい、もう知らせました。装備を整え、数分後には到着します」  一般人を置き去りに、隊員達は怒涛の勢いで準備を整え、短い指示を受けてテキパキと救助部隊を編成していく。 「ミゲル、編成は?」 「クラウスを先頭にアルフ、カティス、ウィル、ジャン。フォロー部隊はフォルク、グレイをつけます」 「良いだろう。町の医師にも伝達。受け入れ態勢を要請しなさい」 「はい」  あっという間に準備を整えると、隊員達は装飾を脱ぎ捨てて走り去ってしまった。  ぽつんと、花嫁を置き去りにして。 「アンナさん……」 「ホリーさん、手伝ってくれる?」 「え?」  ニコ、とアンナは微笑んだ。濡らしたタオルでグイグイとメイクを落とし始め、慎重にベールを脱いだ。 「あたしもこっちでカティスを助けるわ。連携に一番賛同してくれたのはジル先生だったから、先生の診療所に行きましょう。着替えるの、手伝って!」 「う、うん」  気圧されるまま、ホリーはバタバタとアンナと共に丘を駆け降りた。
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