バイトテロ

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 しかし、現実は厳しかった。同情して訪れてくれた客により一時期売上は増えたものの、店を続けていけるだけの売上はもう維持できなかったのだ。 「なんと申し上げていいか…。この度は残念でしたね」  店主を前に、銀行員は暗い顔をして言った。店主はかぶりを振って答える。 「いえ、もう店を畳むべきタイミングだったんですよ。せめて、最後に売上が増えてくれて、借入金だけでもお返しできて良かった…」 「当行としましても、お礼申し上げます。お父様の代から、長い間ありがとうございました」  店主はいくつかの書類に記入し、手続きを済ませると、銀行を後にした。  これでもう本当に閉店か…。せっかく父から継いだ店を続けていけなかったのは残念だ。ただ、幸いにも私には再就職先のあてはある…。  店主は気を取り直して、閉店後の後片付けのことなどを考えながら、店へと戻った。
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