優しいあなたに

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あれから数ヶ月経った今のユウは全く大分と違う。 まず金髪のロングだったの髪を切り色も黒に戻した。 後ろになでつけていた前髪も眉を辺りに揃えて下ろしサイドやバックも肩にかからないくらいに短くなった。 服装もTシャツやニットやカジュアルなデザインのシャツ、それにジーンズやシックな色のパンツを合わせている。 今日はごわっとした厚手のTシャツにジーンズ姿だ。 入学式の時とは違ってすごく地味にしている。それでもそれは彼にすごく似合っていた。結局ユウは何でも着こなしてしまうのだろう。 けれど、私には今のユウの姿は親しみやすい。入学式の時のような、お金持ちの派手なルックスで隣にいられると私は落ち着かない。 今のユウの姿にはホッとする。 教室の中はまだ人がたまっていた。 合宿の主催者側の人達が今後についての打ち合わせを始めていた。 私は邪魔にならないように静かに教室を出ようとした。 ドアの前で振り返るとユウが主催者側の輪の人達にニッコリと微笑んでいた。 「後で連絡します」 「おう」 サークルの部長が言葉を返す。 「お先に失礼します」 「失礼します」 つられて私も挨拶する。 そういえばゆうはサークルの主催者側の人じゃない? 「はるちゃんも帰りに気をつけろよ」 「僕がいるから安心ですよ」 「そこが一番心配なんじゃね?」 どっと笑い声が教室に響く。 「まさか、僕は同意の上でしかしませんよ」 ウィンクしながらいうとその場の雰囲気がパッと華やいだ。みんな惹きこまれるようにユウを見る。ユウはフフっと笑って周りを見回すと私の肩を抱いて外に出た。 どっと笑い声が教室に響く。 この人たらしめ 私もドキッとしてしまったじゃないか。
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