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「ちょっと、コレはどういうことなんですか?!」
車を既に発車させた涼しい顔の翔琉へと、声を荒らげる。
「マネージャーっぽいだろ?」
ニヤリと笑みを浮かべた翔琉に、俺は少しだけ苛立ちを感じる。
「ウ、ソ。本当は、可愛いすぎる颯斗を見せたくないんだよ。だから、わざとダサくさせたんだ」
その横顔は、不意に真剣な表情を浮かべていた。
「……っだったら、俺にマネージャー頼まなくても!」
「そういう訳にはいかないな。俺の可愛いハニーは、こうでもしない限り傍に寄り付いてくれないからな。それに、颯斗が可愛いことは俺だけが知ってればいいんだから、何も問題はないはずだ」
翔琉の満足そうな物言いに、いつでも格好つけたい年頃の俺は不満タラタラである。
「何だ、不満か?」
「そりゃ……」
七三に、ダサすぎる伊達眼鏡。
全てに納得がいかない俺は、無意識に唇を尖らせていた。
「そんな口して、俺を朝から誘ってるのか?……後で、ご褒美にいくらでもキスしてやるから夜まで我慢しろ」
「……は、え?!全然、誘ってなんかいないし!翔琉からのキスなんていらないし、むしろお金の方が欲しいし!!」
相変わらず検討違いな発言をする翔琉に、敬語を忘れて大声で否定せずにはいられない。
「はぁ、颯斗は今日も素直じゃないんだから。冗談だって!」
大きな溜息を付いた翔琉は、大声で叫ぶ俺を保護者よろしく宥めたのであった――。
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