彼女

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「矢田くん、今週末の土曜日か日曜日、どっちか空いてたりする……?」  その日最後の講義が終わり、ふあぁ、と大きなあくびを零したところで加奈子に話しかけられて、慌てて居住まいを正す。  加奈子とは学科が同じなだけあって構内で会うことも多く、あれから自分でも驚く程によく話すようになった。 「うん、日曜日は何も予定入ってないよ」 「ほんとに?じゃあ、その……、見たい映画があるんだけど、付き合ってくれたりする……?」  いいよ、と言えば加奈子の顔がぱっと明るくなる。よっぽど見たい映画だったのだろう。どうして自分を誘ってくれたのかが分からなくて、みんな学祭前で忙しかったのかな……と思考を巡らせつつ話を進める。 「そう言えば連絡先まだ交換してなかったね。遊びに行くならあった方が便利だよね?交換、嫌じゃなければどう?」 「嫌だなんてそんな。是非」  そのまま連絡先を交換して、いつでも打ち合わせはできる状態にしてから一旦別れを告げた。
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