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第二話 司の頼みなら
「スゴイのひと言っていうか、めっちゃいいじゃん」
心底羨ましそうな私を見て、司はこのことは機密扱いだからなと睨んできた。
「分かってるわよ。でもその力で失われた時間を取り戻せるよね。いいなぁ。私ならしたいことしちゃうな~」
「俺だって迷うことなく最初はくだらないことに力を使っちゃったけど、数字が減ってくに連れてこの力を与えられた理由が何かあるはずなんじゃないかと思い始めたんだよ」
思い悩む司の横顔を見て、周りの女子が放っておかないわけだなと思った。
「あんたのことだから、困ってる人の役に立ちたいとか考えてる?」
「・・・、まあな。例えば怪我をしそうな人に忠告してあげるとか、不運続きな人に手を貸してあげるとか・・・」
しばらくの間があったので、私は「で?」と続きを促した。
「知ってると思うけど、私はバイトでいつも忙しいよ」
司は残念そうな顔をすると、そうだよな、俺一人でできることをやってみると言った。
騙されてはいけないと思ったが、彼のさみしそうな顔を目にすると聞き流すわけにもいかなくなった。
「も~、何なのよ。協力はするけど、付き合いきれないと思ったらすぐに手を引くからね」
二コリとしてサンキューと言った司と私は、まさか彼の能力によって人の生死を左右してしまうとは思ってもいなかった。
私たちはただ、彼の能力がいつか誰かに役立つかもしれないと、軽い気持ちで始めただけだった。
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