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「ほら、起きてください。ディアルダさん
おーきーてーくーだーさーいー。」
女の甲高い声が俺の睡眠を邪魔する。
「おーきーてーくーだーさーーい!」
女の声がだんだんとでかくなる。
だが、俺は眠いので更に無視を決め込む。
「おーきーてーくーだーさーーい!!!」
耳元で何かが破裂したような音が響く
熟睡している降りをしていた俺は、さすがに耐えられなくなり、跳び跳ねて
「うるっっっせえよ!!!!!」
と俺を起こそうとする女に叫んだ。
メガホンを片手に持った女が立っている。
「おはようございます。ディアルダさん。」
ニパッと眩しく微笑んで。さも、今日も良い朝ですね!と言いそうな眩しさを放っている。だが、その眩しさが今の俺にとっては
癇に障るよくも俺の睡眠を邪魔してくれたな
お前が女じゃなかったら蹴り飛ばして部屋から強制退出させてる所だぜ。というメッセージを込めた視線を女に送る。
その無言の俺の主張も虚しく女は明るい表情全開で
「今日は物移送三日目ですよー!ちゃんと準備運動しないと、皆に置いてかれちゃいますからねー」
と謎の小さな運動を俺の目の前でする。
「先にやってろ、俺は寝るから。」
俺は再び布団を被った。
「あ!ダメダメダメダメ!二度寝はダメですよー!!!」
女は俺が被った布団を剥がそうとしたが
そう行動すると予想していた俺は布団を両手でガッシリと掴んでいるから阻止された。
「ふんっ!!」
更に強く引っ張るが俺も強く布団を掴んでいるから剥がされない。
「一人でやってろって。あと、女が早朝に男の部屋に上がるな。」
布団を掴んだまま俺は反抗の言葉を口にする。
「何でですかー!あ!...もしかして私の事、女の子として見てくれてるんですかー?キャー!」
女は頬を両手で隠して俺を誂う。
「は?」
俺は布団から顔だけ出して「ふざけんなよ。」という意思を孕んだ眼で睨んだ。
「ちょっと!そんな怖い顔しないでくださいよ~冗談ですよ冗談♪」
あははと女は笑う。
「さっさと下に戻れ。移送運動は9時からだから30分前まで寝かせろ。」
「え~!?ジョギング一緒にしましょーよー!」
「お前は俺より基礎体力が低いからな
俺はお前より体力があるから、その必要は無い。だから、一人でやってろ。」
俺は言い切り布団を被り直した。
「今日は大変な移送日なんですからね
質量を縮小して運ぶとはいえ、建物の移送は大掛かりなんですから。10キロぐらいなんですよー縮小した建物の重さは」
「それぐらい知ってるわ俺を何だと思ってるんだ。」
「ディアルダさんはディアルダさんですよ~?」
女は首を傾げた。
「先輩という意識は無いのかよ。お前。」
「えーディアルダさんって縦とか気にする人でしたっけ~?」
「軍で縦は遵守するのは当然だろ。」
イライラを孕ませた声で女に言う。
「でも、ディアルダさん私より一年先に入軍
しただけじゃないですかー?同期みたいなもんですよ。」
「いいから、さっさと下に戻れ。これは先輩命令だ。」
「うぅ...命令って言うのは卑怯ですよー!
まったく...わかりました。ちゃんと時間になったら起きて下さいね。中将に怒られてもしらないですからねー私は起こしましたよー!」
俺を起こしに来た後輩の女は捨て台詞を残して俺の部屋から退出した。
俺は目を瞑り眠りの世界へ戻った。
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