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始まりの村
気がつくと、のどかな田園風景の中で寝転がっていた。ザ・ふるさと。東京(の近くの県の真ん中ら辺)出身の俺には縁がない(ことになっている)が。
なだらかな丘の中腹に小さな村があり、その周りに様々な色の畑がパッチワークのよう広がっている。その一角、牧草地らしきところで六本脚の牛がのんびりと草を食んでいた。まるで時間の流れが遅くなったような穏やかな景色。
……。
六本脚?
……。
飛行機の影が俺の上を通り過ぎた。
なにげなく見上げた空に飛行機は見当たらない。代わりにエイのような形をした巨大な何かが長い尻尾を揺らめかせて悠然と泳いでいた。
……。
OK、理解した。
異世界だ。
さっきから目のすみっこに何かがちらちらしているのも転生の副作用だろう。○の中に目のマークが書かれたアイコンのように見える。そのアイコンをじっと見ていると、何やら文字と数字が出てきた。
【勇者:Lv. 100】
・体力 9,999
・力強さ 9,999
・知力 9,999
・魔力 9,999
・素早さ 9,999
・器用さ 9,999
・幸運 312
これが俺のステータスか。幸運が低いのが気になるが、他の能力値はカンストしているようだ。能力チートというやつだな。死ぬ前の、前の世界のことも覚えているし、転生条件としては悪くない。さすが俺!
状況はだいたい飲み込めた。ここにじっとしていても始まらない。まるで俺を待っているかのようなあの村に行ってみよう。
俺の伝説が今、始まる!
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