アクシデント

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アクシデント

 ふとスマホから顔を上げると軽トラが突っ込んできていた。ドライバーの引きつった顔がリアル。  危機的状況において、時間の流れが遅く感じるのは本当らしい。なぜか状況を確認する余裕がある。  赤信号。  なるほど。  競泳の飛込みたいに思いっきり前へジャンプ! 戻るより速い!  何とか衝突は免れた!  つま先をかすめた軽トラは急ハンドルを切って交差点の中で横転する。火花とガラスの破片をまき散らしながら二転、三転、信号機の柱にぶつかって止まった。  俺は華麗に着地……は無理。びたん、という音が聞こえた気がした。  痛えぇ。  アスファルトに膝と腹と胸と肘から先をしこたま打ち付けたが、跳ねられていたらこんなものでは済まなかっただろう。幸い顔は無事だ。さすが俺! 『プワアアァン! プワアアァン! プワアアァン!』  なんだこの大きな音は?  軽トラによく似た形の、しかし一回りも二回りも大きな物体が迫ってくる。ダンプ。  ああ、そうか。  二車線か。  緑色のナンバープレートが視界いっぱいに広がる。  ハイ、死んだ。
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