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リーンリーン。
頭の中に甲高い声が響いた。風が吹いた途端、声が聞こえたような気がして、辺りを見回すが特に変わったものがあるわけでもなく、声はそれ以上聞こえてはこなかった。
「今日のは気のせいか・・・。」
桜の木々が今にも零れ落ちそうなくらいの花を咲かせている。桜並木は校門にたどり着くまで何十本も植えられ、校庭も桜でおおわれている。そこには何人かの生徒が歩いているのにもかかわらず、この並木道だけまるで絵画の一部を切り取ったみたいにとても整って見えた。
桜餅みたいだ。食べられたらいいのに。
そんな綺麗な風景も俺にとっては、桜餅みたいにしか見えない。桜の花たちを桜の葉が包んでいる桜餅にしか。
それよりも早く眠りたいな。
眠い目をこすりながら校門をくぐると聞きなれた声が耳元で聞こえた。
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