放て! 聖王学園サッカー部!

1/25
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ

放て! 聖王学園サッカー部!

ゴールネットに、無情にもボールが突き刺さった。 残り少ない時間帯での、決定的な失点だった。 キャプテンの神北は、膝から崩れ落ちそうになるのを必死に堪えていた。 副キャプテンの豊島が、手を叩いて選手全員を鼓舞していた。 「……まだだ! 俺たちの冬は、まだ終わらねえぞ!」 だが、選手たちの前で、時間は刻々と過ぎていく。 疲労した足が前進を叶えず、無闇に蹴られたボールがサイドラインを越え、ピッチの外に転がっていった。 その瞬間、審判が両手を上げ、ホイッスルが吹かれる。 試合の終了を告げられ、最後にボールを蹴ったディフェンダーの土門は天を仰ぎ、大きく息を吐いた。 電光掲示板に表示されたスコアが、青春の終幕をこれ以上なく伝えていた。 全国高等学校サッカー選手権大会、地区予選。 聖王学園サッカー部の戦いが、幕を閉じた。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!