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放て! 聖王学園サッカー部!
ゴールネットに、無情にもボールが突き刺さった。
残り少ない時間帯での、決定的な失点だった。
キャプテンの神北は、膝から崩れ落ちそうになるのを必死に堪えていた。
副キャプテンの豊島が、手を叩いて選手全員を鼓舞していた。
「……まだだ! 俺たちの冬は、まだ終わらねえぞ!」
だが、選手たちの前で、時間は刻々と過ぎていく。
疲労した足が前進を叶えず、無闇に蹴られたボールがサイドラインを越え、ピッチの外に転がっていった。
その瞬間、審判が両手を上げ、ホイッスルが吹かれる。
試合の終了を告げられ、最後にボールを蹴ったディフェンダーの土門は天を仰ぎ、大きく息を吐いた。
電光掲示板に表示されたスコアが、青春の終幕をこれ以上なく伝えていた。
全国高等学校サッカー選手権大会、地区予選。
聖王学園サッカー部の戦いが、幕を閉じた。
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