いたずら

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いたずら

その魔法に気づいたのは、小学生の時だ。 何回も繰り返される台形の面積の求め方に、嫌気がさして窓の奥にある雲を眺めていた。 もっと細長くなーれ。 と、線を引くような仕草をした。 雲は指に沿ってにすーっと伸びていった。 鉛筆でぐしゃぐしゃとするように、雲の上をなぞると雲は散らばっていった。 すごい!雲が動く! 私はその日から、快晴よりも曇った日が好きになった。 形を変えたり、雲を集めたりできるのは運動嫌いの私にとっては最高の魔法だった。
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