シンプル

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「鈴……ありがと。愛してる」 思い切って宣言した直後、唇を奪われた。 「ん……っ」 深いところまで入って、絡みついて逃がさない。そういう動きの舌使いだった。自然と腰も揺れてしまう。意識はやがて、今日弄った下半身へ。 ……いやいや、まだ駄目だ。秋にも念押しされたんだから。 和巳さんと繋がれたら嬉しいけど、いくらなんでも時期尚早。ひとまずご奉仕だけに留めておこう。 下に屈んで、彼のベルトを外した。下着の中に手を入れ、彼のまだ柔らかい性器を口に含む。 「んっ……す、ず……」 彼が身を捩るのも構わず、欲望に任せてむしゃぶりついた。本当は下に欲しい。けどそれが叶わないから、尚更淫らに舐めてしまった。 もう少しでイキそうなのに、和巳さんは中々イかない。我慢してるようにも見えた。 「和巳さん? 遠慮しないで、イッていいんですよ。心配しなくてももう飲みませんから」 「あぁ……でも……」 酒のせいだろうか。いつもよりずっと、身体は熱かった。熱が伝わり、俺の頭もとけそうになる。しかしどうして我慢してるんだろう。先にイクことに抵抗があるんだろうか。それなら、 「大丈夫ですよ、和巳さん。昔と同じ、……俺は、貴方のお世話係なんだから」 そこまで言って、ハッとした。 世話? いや、違う。何言ってんだ。 秋にも今日言われたじゃないか。そんな役割はおかしい。俺は今は、和巳さんの、 「……世話係?」 「ぅあっ!」 腕を掴まれ、急にソファに押し倒された。驚いて彼を見上げると、怖いぐらいの無表情がそこにはあって。……俺を、見下ろしていた。 「俺は鈴の恋人でしょ?」 「あ……はい。す、すいません」 自分への苛立ちと嫌悪感が坂を転がるような速さで肥大している。やめようと思ったのに……また口をついて出たのは、あの馬鹿げた信念だった。 「鈴はやっぱ、昔と同じ。あの頃の考えが抜けきってないね。そうさせたのは叔父さんと親戚と、……俺だけどさ。もう、そういうのはやめにしよう。でないと俺達、恋人どころか従兄弟にすらなれないよ」 淡々と紡がれるその言葉は、とても緩やかに耳に入って、心のやわい所に突き刺さった。
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