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話すための酸素が必要だ。苦しさから、生理的に涙が溢れた。ようやく離してもらえて、ソファの肘掛けに倒れる。
「息できなくてっ……死ぬかと思いました」
「ごめん。つい」
「いえ。……いいんです。俺、和巳さんになら殺されてもいいっていうか。しょうがない、って思ってるから」
息も絶え絶えに呟くと、また彼の目つきが変わった。
「そっか」
和巳さんの虚しい声が耳に入る。それに答えられないでいると、次は怖いぐらい無機質な声が聞こえた。
「じゃあ、殺してあげよっか」
重心がずれる。そんなに丈夫じゃないソファの軋む音が聞こえた。
「決めた。もう二度とそんな馬鹿なこと言えないように、たくさん愛して、可愛がって……今のネガティブな鈴を殺してあげる」
「え。あっ!」
ベルトに手をかけられ、慌てて彼の腕を掴む。やめてほしくて抵抗するけど簡単に押さえられ、服を脱がされる。
「いやっ……和巳さん、やめて……っ」
「だめ。少なくとも、今日はだめ」
彼は露わになった肌に舌を這わせた。ゾクゾクする。そんな、感じてる場合じゃないのに。
「今の鈴には何を言ってもだめだね。まあ元々頑固なとこあるし……だからこっちを先に素直にさせる」
熱い。彼に触られた部分の熱が高まっていく。それはとても醜く見える。
最大限抵抗をしたけど無駄だった。長い長い時間をかけて、固い身体をほぐされる。緊張が、ほどけていく。
「俺のことが本当に嫌いだったら、嫉妬してるなんて気持ちは隠しとくべきだったね、鈴。正直に言っちゃうから、俺に独占されちゃうんだよ」
「え……っ?」
どういう事だろう。分からなくて聞き返すけど、口に無理やり指を差し込まれた。
「ほら、頑張って舐めて。俺に勝ちたいんでしょ?」
苦しくて後ろに手をつく。それにあまりに深くまで入れるから、彼の指を噛んでしまった。
結構痛かったはずだ。それでも彼は指を引き抜こうとしない。
唾液がだらしなく溢れてしまうまで、それは続いた。
信じられない。けど、彼はそのぬれた指で俺の後ろを撫でた。
今日、俺も少しだけ触った……固く閉ざされた入り口を。
撫でて、僅かに力を入れる。
「さ……俺に愛されてるって、頭に刻み込むまで終わらないよ」
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