Pink Gold

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 家に入った私は、コートを脱いでクローゼットにしまい、机に着く。机の上の写真立ての中には芳樹の写真。写真の芳樹は満面の笑みを浮かべている。 「ねえ、芳樹。会いたいよ」  写真に向かって私は呟く。だけど、写真の中の芳樹は何も答えてはくれない。私はピンクゴールドのネックレスを外し、手の上に置いて眺める。ネックレスが白熱球の明かりを受けて、キラキラと輝く。  三年前のクリスマス・イヴ。私は芳樹と二人で旅行に出かけた。行き先は長崎。私が行ったことがないと言ったら、芳樹が旅行の計画を立ててくれて、ホテルも取ってくれた。  私は初めて訪れる長崎に興奮していた。昔、一度だけ長崎に来たことがあるという芳樹が、私をあちこちに案内してくれる。大浦天主堂、グラバー園を回り、昼食は新地中華街で中華料理。私は初めて食べる太麺の皿うどんに舌鼓を打った。  昼からは平和公園と長崎原爆資料館を中心に回る。そして、中華街の近くのホテルに戻ったのは、午後四時頃だった。  歩き回って少し疲れた私は、ベッドに倒れ込んだ。 「疲れた?」  芳樹が私のそばに腰掛けて言う。 「うん、ちょっとね。疲れて、少し眠いかも」 「だったら、少し寝る? 夜は少し行きたいところがあるから」 「行きたい所? どこ?」 「今はまだ秘密」  芳樹はそう言って、ニコリと笑った。
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