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「ねえ、芳樹。これ、私からのクリスマスプレゼント」
私はプレゼントの箱を芳樹に差し出した。
「えっ!? ありがとう。なんだろう?」
芳樹はプレゼントを受け取ると、さっそく箱を開ける。
「おっ、シャーペンとボールペンのセットか。ありがとう、麗子。これから仕事で愛用させてもらうよ」
「うん、そうしてくれると嬉しい」
「大事にするよ」
芳樹はそう言うと、私を優しく抱きしめてくれる。私は芳樹の暖かさに包まれ、胸いっぱいに幸せを感じる。そんな私の耳もとで、芳樹が囁く。
「来年のクリスマスは、夫婦でどこかに旅行に行けるといいな」
「えっ……それって……」
「麗子、僕と結婚して欲しい」
突然のプロポーズに、私は一瞬舞い上がって、どう答えていいのかわからなかった。私がなかなか答えずにいると、
「嫌か?」
と心配そうに言う。私は慌てて、
「ううん。末長らくよろしくお願いします」
と答えて、芳樹の胸に顔を埋めた。
私にとっての最高の瞬間だった。子供は二人で、白い大きな犬を飼って、できれば郊外の一戸建てに住みたいとか、これからの幸せな結婚生活を勝手に想像してしまう。
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