Pink Gold

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 電車は快調に進み、佐賀駅が近づいてくる。そして、 「まもなく佐賀に着きます」  車内アナウンスが流れた瞬間だった。轟音とともに激しい衝撃が走り、体がフワリと浮く感じがした。 「わっ!!」  思わず声を上げると同時に、私の体は前の座席に叩きつけられる。一瞬にして目の前が真っ暗になり、そのまま意識を失ってしまった。  気が付くと私は救急車の中にいた。体中がズキズキと痛む。体を起こそうとすると、 「あっ、動かないでください」  と、救急隊員から制止された。 「あの、いったい何があったんですか?」 「脱線事故ですよ」  私の問いに、救急隊員が答える。 「脱線事故? どういうことですか?」 「あなたの乗っていた特急電車が佐賀駅手前で脱線事故を起こしたんです。覚えていらっしゃいませんか?」 「ええ。あの、それより、芳樹は?」 「芳樹というと?」 「私と一緒にいた男性です。知りませんか?」 「すみません。私たちではわかりません」  救急隊員は申し訳なさそうな顔をして答えた。  私には、芳樹の無事を祈ることしかできない。被害状況も何もわからない中、最悪の事態も頭を過る。それでも体全体が相変わらずズキズキと痛む。私はそのまま、病院へと運ばれた。
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