筋書き指定コース

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筋書き指定コース

 簡単に言うと、筋書き指定コースは、要素指定コースにあらすじとタイトルを指定できるものだった。なので、画面も要素指定コースとほぼ同じ。違うのは、あらすじの入力欄とタイトルの入力欄があることだ。  あらすじは、100字以上1万文字以下で指定できる。タイトルは100文字以下だ。ラノベとかでよく見かける、長いタイトルも可能である。  シオリは、驚嘆してため息をついた。 「こんなにたっぷりあらすじが書けるなんて、ショートショートとか童話が書けちゃう」 「でも、AIがそれを解析して要素を絡めてストーリーを組み立てるから、もちろん投稿サイトみたいにそのまま作品となることはない」 「だよね。でも、要素である程度キャラクター作りをして、入力限界くらい詳細にストーリーを書き込んだら、AIが行間になにを埋めるのか――」 「気になる? 試しにやってみたら?」 「時間がかかるから家に帰ってやらないと――」 「それは出来ないようになっている。2次元バーコードから読み取ったURLは、この部屋から退出すると永遠に無効になるから。あくまで、店内でしか出来ない」 「そうなの!?」 「しかも、その入力欄、メモからカットアンドペースト不可だから、手打ちしかない」 「マジで!? ということは――」 「注文作業は、店内でやれってこと」 「時間かかりそう……。ところで、AIが書き上げるのは、どのくらいの時間?」 「うたい文句では、完全お任せコースで5分以内。私の経験では、4分越えたことない。要素指定コースで10分以内。これは8分越えたことない。筋書き指定コースは15分以内。こいつはさすがに長くて、いつも10分は超えるけど12分くらいには終わっている」 「だから、コーヒーを飲んで待つのね」 「そゆこと。――じゃあ、だいたいわかった? 注文するよ。私はケーキセット。ここのチーズケーキ、絶品だよ」 「私もそうする」  今まで待ちきれない様子だったミキは、衝立から頭を出して振り返り、右手を挙げて店員――セバス君――を呼んだ。  シオリも首を伸ばして、セバス君が笑顔で近づいてくるのを見たが、目が合うと恥ずかしそうに首を引っ込めた。 「ここの営業時間は?」 「10時から20時まで」 「じゃあ……まだ時間はたっぷり――」 「ケーキで籠城すると太るよ」  ミキは、シオリの首から下を見て目を細めて笑った。
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