アンドロイドの店員

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アンドロイドの店員

「いらっしゃいませ。そちらのお客様は……お連れ様ですか?」  好青年にジロジロ見られて気恥ずかしいシオリは、反射的に一歩横に動いて体を少し傾け、ミキの背後へ隠れそうになった。  でも、彼は店員のはず。これからお店に入るのに怪しまれないよう、自分の姿をちゃんと見せておかなければいけないと思い直し、踏みとどまった。そうして、こんなにラフな格好ではなく、もっと着飾っておけば良かったと後悔し、ポーッと顔を赤らめる。  そんなシオリをよそに、ミキは嬉しそうな声を廊下に響かせて店員に告げた。 「予約の時にお伝えした、新規会員の紹介です」 「新規会員の紹介って?」  シオリの問いかけに目だけ動かしたミキは、店員に笑顔を崩さない。店員は、そんなミキから視線を切って、シオリを見つめて「こちらを向いてください」と言う。  男性に見つめられることに慣れていないシオリが目をそらそうとすると、「こちらを向いてください」と念押しされる。観念した彼女が青年と目を合わせた3秒後――、 「画像登録しました。それでは、横のボタンで、ご自分の携帯電話番号を打ち込み、最後に()(げた)――シャープを『いいです』とこちらから申し上げるまで長押ししてください。その後で、お名前をフルネームでおっしゃってください」  ボーッとして立ち尽くすシオリ。彼女の肩を、しびれを切らしたミキがポンと叩く。 「あんたがやるのよ、シオリ」 「えっ? 私?」 「登録するのは、あんたなんだから」 「登録? そういえば、画像登録したって――」 「ここの本屋の会員登録で、あんたの写真を撮ったの。こちらの店員さんが自分の目で。彼、アンドロイドなの」 「アンド――ロイド?」
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