prologue

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ただ少し、少しだけ、貴方を思い出す。 覚えていてはいけない、貴方。 私を呼ぶ声が、伸ばす手が、抱きしめる腕が、全てが忘れられない。 忘れたくない。 でも私は"今"を生きているから、貴方を忘れなくちゃいけない。 分かってる、分かっているの。 分かっているのだけれど、この世界でいるはずのない貴方を探してしまう。 似た声、後ろ姿、背丈、貴方の"似ている"に出会う度に、心が苦しくなる。どうしようもなく、会いたくなる。 だからどうか、こんなに苦しいのは私だけでいいから、貴方が私を忘れてくれています様に。
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