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時の守り人は
真剣な目になる依子さん。
「 いい?今から言うことをよく聞いてね。まずこの世界のこと。ここは" 狭間の海 "と呼ばれる場所で、貴方達の世界の言葉を借りると異世界と異世界を繋ぐ場所。分かりやすく言うとね、たくさんの世界の調和を取るのがここ"狭間の海"なの 」
調和を取るとはどういうことなのか、すると依子さんは私の心を読んだのかまたふふっと笑う。
「船の外を見たでしょ?たくさんのシャボン玉。それが世界そのもので、扉の役割もしてる。そして"狭間の海"と呼ばれるこの世界だけが唯一他の世界への自由な出入りを許されている 」
「 私の居た世界も? 」
頭に浮かぶのはパラレルワールドと呼ばれる多岐に別れた世界の話。
「そう。だけどね、他の世界に干渉したり、その世界を大きく変えてしまう様な事をしてはいけない 」
「変えてしまったら?」
「 その世界が滅びるか、たくさんの命が犠牲になる 」
まるで昔起こった出来事を話しているかの様に、エメラルドが悲しく揺れる。
「 でもね、その掟を破る船都市はたくさんあるの。だから、唯一" 時の守り人 "と呼ばれる特殊な力を持つ先住民がいるこの船都市"リレイション"が、警備や見回り、時には粛清を任されている」
この世界でいう警察なのだろうか。
そして私は聞いたことのある単語に反応した。
「 時の守り人?? 」
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