100日後

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 コンビニに入るといきなり助手の姿が目に飛び込んだ。幸い向こうはこちらに気づいていないようだ。とりあえず顔を隠すようにうつむきながら陳列棚の影に隠れた。彼がいるということは、到着した日付に間違いはないようだ。それなら私はどこへ行った?  助手は新聞を片手にレジに並んでいた。代金を支払ってからその紙面に視線を落とし、出口へと向かう。そのときだ。店の外から車の急ブレーキと、何かのぶつかるドーンという轟音が立て続けに聞こえた。  ガラス越しに外を見る。歩道に乗り上げた車と、道の真ん中に倒れる人の姿があった。それはまさしく私と瓜二つの男だった。  事故現場にわらわらと人が集まってくる。すぐに救急車の音も聞こえてきた。  気がつけば助手の姿が見当たらない。元の時間に帰ったようだ。私も行かなければ。  震えるひざを叱咤しがなら研究室に戻った。来たときにあった二台のタイムマシンのうちの一台がなくなっていた。助手が乗って帰ったのだろう。気が動転していたと言っていたので、私が乗ってきたタイムマシンは目に入らなかったようだ。  元の時間へと戻り、タイムマシンが停止した。しかし私は動くことができなかった。自分自身が事故に遭う場面を目撃してしまったことで精神に恐慌を来たしていたからだ。  扉が外側から開かれた。助手が不思議そうな顔でこちらをのぞき見る。 「あれ?どうしたんですか、博士。顔色が悪いですよ」 「おきた」
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