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 即座に、あんたのほうが主人公だと言っただろうと反論したくなったが、互いを褒めあっているみたいで傍から見て気色悪いだろうからやめた。  小恥ずかしいし、くすぐったかった。  やっぱり宮守はどこか感覚が違うらしいと内心で毒づいた。  心の中はそれなりに動揺していたが返したのは、おう、のひと言で、ともすれば素っ気ないと受け取られかねないにも関わらず、宮守は満足そうに頷いていた。  今日のことでこいつはもう油断することもなく努力をしはじめることだろう。本気を出したうさぎにかめが勝てる道理はあるのだろうか。  いやいや、と首を振る。これでは宮守の言ったことを受け入れているみたいじゃないか、おれは主人公ではないのに。  通学路、大通りの交差点での別れ際、ふと晴れ間に雲がかかる。ブティックのショーウィンドウに同じ髪型の大小の二人組が映る。モデルのようなイケメンにはどんな髪型も似合う。  まったく事情を知らない人間からすれば、おれが宮守の真似をしているように思えるかもしれない。  髪型戻せよと言いかけてやめた。おれは負けたのだ。敗者が勝者に何を言えるというのか。  ●  朝の教室はさざめいていた。
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