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 期末テストが近づくにつれて砂連尾の目の下の隈は濃くなっていった。それはたぶん覚悟の証だ。ここでぼくが体調を慮って、勉強の時間を減らしたほうがいいみたいなことを言ったとしても砂連尾は聞く耳を持たないだろう。これまで以上に手を抜かないと砂連尾が決めたのだから、ぼくはそれに百パーセントで応じるほかない。  ライバルだったから。  わからないところを教えあったりして敵に塩を送るようなことをしても、無理を諌めて相手に手加減させるようなことはしない。  無理をしてまでぼくを上回りたいと砂連尾が思ったのなら、受け止めなければならない。  光栄に思う。ぼくはあなたの越えるべき壁になる。  ○  六畳二間の県営住宅の室内は片方がごみ捨て場のような有様だった。酒の空き瓶に空き缶に、コンビニ袋にまとめられたゴミが散乱し、食べ終わったままのカップ麺の容器はスープもそのままに床の上に置きっぱなしになっている。テーブルの上にはいつのかわからない競馬新聞が引き裂かれたままになっている。その傍らで大いびきをかく父親を一瞥すると隣の部屋に入った。
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