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 ●  図書室の隅、ぼくは友人のツテで過去問を入手し、コピーを各教科二部ずつ用意した。クラスの有志が集ってテストの過去問のなかから重要な設問や難問をまとめたものだ。各教科あり、テスト形式になっている。手間がかかっているので対価を要求されると思ったが、ひとつ貸しだ、と言われただけでその場で何か求められるようなことはなかった。  砂連尾はぼくに恩義でも感じたのか、その友人に借りを返すときは自分も呼べと言われた。  わかったよ、と応じると、絶対だぞ、と念押しされて律儀だなと感心しながら内心、苦笑した。  ぼく自身の話もした。過去の神童っぷりを誇張なしに語って聞かせると砂連尾はひどく納得していた。同時に自身の見立てに間違いなかったことに満足もしていた。  ――放課後に一日一教科で休みを挟んでちょうど一週間で戦いは終わった。採点は全教科が終わった次の日に行うことにしていた。  ぼくらは図書室で互いの答案を手に採点している。砂連尾の様子がおかしいことに気づいていたしぼく自身もこの一週間、違和感を覚えていた。採点を終える。  五教科の合計点、砂連尾が四百三点。
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