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もののけ
六畳ほどの和室に火の消えた何本もの蝋燭が立っている。その中で車座になった数人の老若男女。彼らの中心には唯一火の燈った蝋燭があった。四方の障子にゆらゆらと揺れる人影が映る。
酔狂なこの集まりの中心人物と思しき男が、芝居がかった口調で物語っている。
この長丁場もようやく終幕を迎えそうだ。みんなくだらない話ばかりだったが特にこの男はひどかった。得意気に話しているがオチは簡単に読めてしまう。聞いている身にもなれと言ってやりたいが立場上そうはできない。
やがて話し終えた男は、もったいぶった仕草で百本目の蝋燭を吹き消した。
さて。
ようやくワタシの出番だ。
待たされた分、思い切り暴れてやろうか。
それとも……。
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