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 ふと、しょーちゃんが俺を見上げた。 「そういえばさ。塾の川原(かわはら)中の女子たちも、第一志望南高(みなこう)だって。 片方の子は、れーのこと知ってたよ。神林(かんばやし)さんて人」 「ああ。美少女?」 「そーそ。 おまえが『王子』だから知ってんのかと思ったら、会ったことあるって」 「じーさんの新年会に、親と来てたかも」 「おー、セレブつながり」  しょーちゃんが感心したようにうなずく。郊外にちょっとでかい病院と土地持ってるくらいじゃ、セレブとはいわないと思うんだけど。 「神林さんてさ、すげえしっかりしてるね。もう一人の子が、いっつも世話焼かれてて」  そこでしょーちゃんは、なにか塾での心温まるエピソードでも思い出したらしく、くすっと笑った。
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