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第一回 二人の出会い
『ミーン、ミンミンミン………。』
私が初めて、彼、朝霧美人(あさぎり み
と)と出会ったのは、小さなセミが大泣きす
る真夏の暑い日だった、、、。
その日は、太陽の日差しが、素肌へとジリ
ジリ差し込むと、素肌の奥がヒリヒリと焦げ
茶色く変色させるほどに、暑い、暑い日だっ
た、、。
その暑さのせいで、誰もがイライラしてい
るような、むせかえる少し小さな街角で、
私、相沢拓紅(あいざわ たく)は、朝霧美人
と出会ったのである。
私が、1つの街角を曲がる途中で、朝霧
美人とぶつかった、、、。
『ドン!』
「いた、 どこ目付てんの?」
私は、女ながら、口調悪く、朝霧美人に
向けて言った、、、。
だか、彼、朝霧美人には、私のその声は、
聞こえていない様子だった、、、。
それどころか、逆に、朝霧美人の様子の方
が不思議であった、、、。
朝霧美人は、私の言葉なんて耳を傾け
ず、私の方を振り返る事さえもなく、うつむ
きかげんで、口元に手を置き、少し淋しそう
な表情を浮かべながら、私の耳に聞こえるか
聞こえないかくらいな小さな声で、ぶつぶつ
と1人呟いていた、、、。
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