必然にはなれない

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必然にはなれない

 ※時間切れにて、改めて加筆した作品  お題『偶然』  初めてコミュニティーアプリをし始めたのは、いつだろう。  もう随分、このアプリを利用している気がする。  最初の名前と内容だけは、ちゃんと覚えている。  相手の名前は椿(つばき)。  竜也(たつや)椿(つばき)との出逢いなんて、ほんの些細なことで偶然だった。決して必然じゃない。  同じ日、同じ時間、同じことを思い、それがタイミング良く合わさった。たったそれだけのこと。  たまたま、全国の登録者とマッチングをすると云うアプリを見付けた。  そのアプリは、簡単な登録で音声通話やチャットが出来るみたいだ。  誰かと通話で話せたら良いな、そう軽い気持ちで始めた。  アプリショップの中からインストールをする。ダウンロードが完了したら、アプリを開く。  最初にチャットボタンと通話ボタンの2つが表示されている。竜也は迷いなく通話ボタンを押した。 ♪〜♪〜♪〜  誰かと繋がるであろう、着信音が流れる。 「もしもし」 「あ、こんばんは」  可愛らしい低声が聴こえてきた。察するに声からして女の子だと思った。  透かさず、竜也は挨拶をした。 「こんばんは」 「名前はなんて読むのかな?」  女の子が挨拶を返してくれた。竜也は妙に嬉しくなり、自ら話題を出した。 「椿だよ。君は?」 「俺は竜也」  椿という女の子は、戸惑う様子もなく淡々と答えてくれる。 「宜しくね、竜也」 「こちらこそ宜しくね、椿ちゃん」  しかも、椿ちゃんの方は仲良くする意思があるみたいで嬉しかった。女の子と通話が出来ることに幸せを感じる。
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