必然にはなれない

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 偶然でもいいから、男の恋人が欲しいと思った。  その相手は竜也が良い。そう何時しか思い始めたのだ。  今日こそ、伝えないと。  一度も会ったことがない竜也に恋焦がれた。  それに『椿ならいいよ』って言ってくれた。  見た目より中身を見てくれる人だから、きっと大丈夫。 「たっ、竜也。好き」  勢い良く電話越しで告白をした。 「俺も、椿が好きだよ」  すると間を空けられてしまい、不安に襲われるけれど、好きだと言ってくれた。  え? ってことは両思いってことだよね?  内心ではしゃいでいる椿。  竜也は続けて話し出した。 「実は俺、こういうアプリは初めてだから、椿みたいな可愛い子が出てくれて嬉しい」 「全然、可愛くないよ」  こんなに自分自身を褒められると否定しながらも、嬉しさで胸が高鳴る。 「可愛いよ? こんな女の子が居るなんて、し始めて良かった」  今、女の子って言った? 驚きで高鳴る胸が沈み始めた。 「えっ? ぼっ、僕、男だから・・・・・・」  嫌な予感をしつつ、ちゃんと性別を明かしてみた。 「え? だって声は女の子だし」  あー、声で女の子だと勘違いしてたのか。  今まで竜也に性別は明かしていなかった。わざわざ言わなくても分かるだろう、と思っていたからだ。 「確かに、周りからよく間違えられるけど・・・・・・竜也は女だったから好きなの?」 「いや」  また間が空いた。先程とは違い、何も言ってこない。 「やっぱり・・・・・・嫌だった?」  竜也の反応が心配で恐る恐る、聞いてみた。 「まあな、女の椿だから好きだった」  案の定、素直な回答がやってきた。 「好きだったっか、外見より中身を見て欲しかった。でも竜也は女の子が好きだし仕方ないね」 「ごめん、椿とは付き合えない」  告白して実ったかと思えば、即行竜也にフラれたのだった。  まあ、ゲイを好きになる男なんて中々巡り会える訳ないか。
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