もう止められない

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 電車の発車時間は16時45分。  この学校のホームルームは、クラスごとか分かんないけれど、生徒達が間隔を空けてやってくる。  例の彼のクラスは、電車の時間に近い時間に終わることが多いみたいだ。  3回に1回で彼が走っている光景を見かける。  太陽の下、一生懸命な眼差しで走り出した彼の髪から汗を滴る。電車内の椅子にドサッと座り込むと、笑窪を凹ませて笑うのだ。  彼の笑顔に胸の鼓動が早くなり、身体中がふぁっと燃え上がる。  毎回のように、彼とともに走っていた男子生徒達が、今電車に入り込んだ。  彼は、今日に関して男子生徒達と一緒じゃないみたいだ。改札口の方を見つめても彼の姿はなかった。  さっきまで歩道を精一杯に走っていたのに・・・・・・大丈夫かな。  ちゃんと歩道を走る姿を見たのだから、来る筈だと思った。  不安が募りつつも、僕は車窓から改札口を眺めることしか出来なかった。  彼より先に入った男子生徒がざわつき始める。
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