13人が本棚に入れています
本棚に追加
母、耐性有り
お題『洗濯日和』
夏になると、母親は洗濯に張り切る。
それは気温と湿度が高い季節だから乾きやすい、という単純な理由からだった。
「まだ眠い・・・・・・」
「確かに、また寝てようか」
ベッドの上で寝転がっている夏弥と陽斗。
二人とも、目を覚ましたばかりでタオルケット一枚を共有している。
「賛成〜」
目蓋を擦りながらも、夏弥の提案に賛同する。
痒みが治まると陽斗は、夏弥がいる方向に身体を向けた。
同じように夏弥も陽斗の方向に身体を向ける。
お互いが向かい合った状態になり、陽斗は夏弥の胸板に目をやる。何だかムズムズと身体が疼き出す。胸板を目掛けて思いっ切り抱き着く。
「えいっ、やっぱり夏弥の身体は冷たい!」
「だろ? もっとくっつこう」
なお、二人は深く密着をして幸せな空気に包まれた。
すると階段の方から、誰かの足音が聞こえてきた。
やばい、やばい! と慌てながら騒ぎ出す。
何故なら二人は同じベッドで寝ているし、しかも裸同士だからだ。
取り敢えず、服だけは着ようという決断にいたり、二人とも深く頷く。
ガチャ。
この部屋のドアを開く音が聞こえた。
「起きなさい」
足音は母親のものだった。
それより母親が異様な顔で二人を見つめている。
上半身が裸の夏弥、パンツを下から上にあげようとしていた陽斗。
そんな二人を見て母親はこう言った。
「二人でいたのね。洗濯するから、早めに着た服とかは洗濯機に入れなさいね」
この光景を見ても、何の反応も示さない母親。そのまま洗濯の件だけを言い残した。
母親は何事も無かったかのように一階へと降りて行ったのだった。
「危なっ」
「セーフだね・・・・・・良かった」
母親の反応にビビりながらも、安堵する夏弥と陽斗であった。
最初のコメントを投稿しよう!