優しさとは裏腹に

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優しさとは裏腹に

 お題『遅刻』『今日に限って』  ーーー今日に限って遅刻の危機だ  昨夜、路地でしゃがみ込んでいる男がいた。  すぐさま、背中を擦り近くの公園のベンチで休ませる。  大分楽になった、と言う男は立ち上がろうとして足を踏み外した。  咄嗟に男の身体を支えた瞬間。  滑らかな肌触りと甘い匂いにやられた。  本能的に、こいつを抱きたいと思った。  男はホテルへと誘って来て、一晩中身体を離してはくれなかった。  目を覚ますとこう言い放つ。 「お兄さん、ご馳走様。なんとなく買った、媚薬に近い香水で男とヤレるなんて、最高だね!」  愕然とした。まさか、媚薬に近い香水を付けて最初から男狩りをしていたとは。  そんなこと思いもしなかった。  呆れ果てている内に、男は帰り、時計を見ると遅刻ギリギリだった。
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