花火

4/4
前へ
/18ページ
次へ
 ようやく花火が一面に見える場所を見つけた。  晶も裕也も、夏の気温や走りっぱなしで足がクタクタだ。 「はぁ、はぁ」  裕也は息を荒らげる。足の裏に痛みを感じながら、河川敷で空を見上げた。  ヒュー、ドンっ! ドンっ! 「花火だっ!」  晶は体力がある方だから、すぐに立ち直り花火に喜んでいた。  青い色の次は、赤い色の花火が重ね重ねで空に広がる。様々な色合いで、形は丸い以外も照らし出した。 「デカイな! うわぁ!」  息を整え、花火を味わう。花火の偉大さに声を荒らげ、花火のせいで耳がキーンっとなる。  地味に疲れるけれど、それも風流なんだと理解した。  花火が終わるまで、晶は掴んだ腕を離してはくれなかった。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加