年下だけど

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「電車の切符はもう買ってあります。あ、お金とかいいんで。むしろ来ていただけて良かった。切符、損になるから。」 絶対、私がこのイベントに行くこと分かっていたくせに。だけどその言葉は言わないでおく。学君の優しさが嬉しかったから。 「満員電車とは・・・。」 前の電車が何らかの理由で運転中止になったので私たちが乗る電車は満員だった。人と人が密着するくらいには。 「!!!」 急に大きな揺れを感じ、ドア側にいた私は、強く体を打ち付ける・・・と同時に、 「!!!」 私の肩に強く学君の胸が当たる。倒れないようにドアに手をついた姿は、壁ドンの状態だ。しかし、ここは満員電車の中。揺れに伴い、体を離したくてもくっついてしまう。 「ご・・・めんな・・さい。」 「仕方ないでしょ。気にしないで。」 謝る学君にできるだけ大人ぶって平常心で言葉を返す。 だから気にしないで。私の心臓の音と赤くなってしまう顔に。
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