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「確かにそうだね。 俺の考えが甘かった」
陸斗の自分の考えが間違っていると思ったらすぐに引くところも好き。
「じゃ、今私たちが出来る事って何かな」
問いかけると、みんな考え込んでしまった。
「タクが愛ちゃんを誘拐した証拠……もう一度野外ライブの動画を見てみないか?
もしかして、見落としている情報があるかもしれない」
陸斗がそう言ったタイミングで、料理が運ばれてきたので先に食事を取ることになった。
私と陸斗とサークル長が愛の事を話しながら食べている間、愛のお母さんはほとんど料理に手をつけていない。
「おばさん、食べないとダメです。 お腹が空いたままだといざという時に、犯人を追いかける事も出来なくなります。
愛ちゃんの為にも食べて下さい」
陸斗が気づいて、お母さんに声をかけると、お母さんはハッとした顔で陸斗を見た。
「愛の為に……そうね。 食べるわ」
愛を早く救出しないと、愛のお母さんが倒れてしまう。
私に出来る事は何?
食事が終わった時に、休憩中の美和さんから『どうなった?』とラインがきた。
愛の両親が来て、警察官と一緒にタクの部屋の前まで行ったけど、警察官が何度インターホンを押しても返事がなかった事、そしてそのままマンションを出て、今、愛の両親と一緒に食事をしている事を伝えた。
「ちょっと待ってて見てくる……タクの部屋、電気がついているよ」
美和さんは外に出て、マンションを確認してきてくれた様だ。
『じゃ、タクはいるんですね。 さっきは居留守を使っていたのかな。 悔しい!』
『明日、マンションにくるなら、またうちにきたら良いよ。 じゃ、仕事の途中だから戻るね』
『ありがとうございました。 お仕事頑張って下さい』
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