タクと愛

48/49
294人が本棚に入れています
本棚に追加
/426ページ
普通の家に見えるのに、服以外は何も置いてない。 缶切り1つあれば、窓に投げつければガラスが割れるのに。 何一つ見つけられないのに時間だけが過ぎていく。 「愛ちゃん、どうしょう、暗くなってきたよ。 お腹も空いてきたし」 もう探す場所は全て探した。 電気もガスもきてないのに、このまま夜になったら私たちはどうなるんだろう。 「助けがくるのを待つしかないよ」 「助けなんてくるのかな。 ここがどこかわからないのに」 「きっと来る」 「どうしてそんなに自信があるの? やっぱり愛ちゃんは真弓ちゃんと連絡を取っていたの?」 タクの口調が急に冷たくなる。 気が弱い癖に、私を疑っている時だけ人が変わった様になるタクに嫌気がさした。
/426ページ

最初のコメントを投稿しよう!