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普通の家に見えるのに、服以外は何も置いてない。
缶切り1つあれば、窓に投げつければガラスが割れるのに。
何一つ見つけられないのに時間だけが過ぎていく。
「愛ちゃん、どうしょう、暗くなってきたよ。 お腹も空いてきたし」
もう探す場所は全て探した。
電気もガスもきてないのに、このまま夜になったら私たちはどうなるんだろう。
「助けがくるのを待つしかないよ」
「助けなんてくるのかな。 ここがどこかわからないのに」
「きっと来る」
「どうしてそんなに自信があるの? やっぱり愛ちゃんは真弓ちゃんと連絡を取っていたの?」
タクの口調が急に冷たくなる。
気が弱い癖に、私を疑っている時だけ人が変わった様になるタクに嫌気がさした。
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