ゴジッポヒャッポ

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ゴジッポヒャッポ

どんぐりの背比べ とか、 似たり寄ったり とか、 五分五分 とか、 五十歩百歩 と…… 「待て!待て待て待て!それはおかしくねぇーか?50歩と100歩は全然違うじゃん!100歩は倍だよ!倍!!!納得いかねぇわー。俺、それはどうかと思う!」 はぁ……まーた始まったよ。どうでもいい事にいちいち難癖つけるんだから。 「新太(あらた)、わかったから。今はそーゆうこと話してるんじゃないからさ。」 「や、でもさ、藤沢(ふじさわ)はおかしいと思わないの?だって絶対違うじゃん!50歩と100歩だよ?ちょ、一回歩いてみようぜ!」 「いや、ここ部屋ん中だから。」 「じゃぁ……足踏み!足踏みしよう!」 そう言って勢いよく立ち上がるもんだから机の脚に新太の膝が当たって、置いてあったノートやらペンやらスマホやらが新太に負けない勢いで床に落ちた。 俺はやれやれと呆れながらそれらを拾う。そんな事などもちろんこいつは気にしていない。 だいたい先人の決めたことわざに今更文句を言わなくてもいいのに。てかさ、どっからどうなってことわざの話になったのかも思い出せないけど……確か今日は一緒にテスト勉強しようって珍しく新太に誘われて、そして何故か俺の部屋限定でって話になって……。 まぁ俺からしたら 棚からぼた餅 だったからいいんだけどさ。なんて思ってる内にもう勝手に足踏み始めちゃってるし。 それって2人同時に始めなきゃわかんないんじゃないの? 狭い部屋の中で、高2男子が真剣な顔して数を数えながら足踏みをする姿は中々にシュールで。 数も、頭ん中で数えるとかじゃなくてちゃんと声に出して言うあたりが新太らしい。真っ黒で艶のある、見た目でもわかるくらいに硬くて真っ直ぐな短髪は足踏み程度じゃ揺れもしない。 精悍な顔付きと、野球で鍛えられた筋肉質な腕が軍隊の行進みたいに規則正しく振られている。
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