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「30、31……あ、なぁ、これって俺1人が足踏みしても意味なくね?」
あーあ、気付いちゃったか。もっと見ていたかったのに。
「うん。そうだろうな。」
「あーーーもうっ!わかってたんなら言ってくれよ!無駄に体力使っちまった!なんか飲む物貰っていい?今ので喉渇いた。」
「わかった。持ってくる。麦茶くらいしかないかもしれないけど。」
部屋の扉を閉めて、深く深呼吸をした。階段を降りる途中で我慢出来ずに顔がにやける。
あーかわいい。カワイイ。
今ので喉渇いた……だって。
ちょっとだけムッとした顔もがっかりした顔も全部可愛い。
頑固で野球バカで、大事な事は0か100かしかないようなさっぱりきっぱり決めてしまう決断力があるのに、コンビニでアイスを選ぶ時は中々決められない。人も食べ物も好き嫌いははっきりしていて、だけどアップルパイは食うのに生のりんごは苦手で、理由が味は好きだけど噛んだ時の音が嫌いだとかで、りんごにだけは変なこだわりがあったりする。
そういう……なんていうか……よくわからない所も含めて新太はとても可愛いのだ。
という話をこの間SNSだけの繋がりで顔も知らない同類の友達に話したら、 意味わかんねぇー 。の一言で片付けられてしまった。
わかんないもんかね……この可愛いさが。
俺にしかわからないならそれはそれで得した気分だけど。
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