りゆう

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りゆう

――今日までこれてよかった。 そう呟きながら、じいちゃんはブランコの奥にある少し大きめな花壇に目を向けた。 そこには窮屈なヒマワリの花たちが必死に顔を上げている。なんだか酸素を求める魚のようでかわいそうだなと思った。 「もともとモモコは体が丈夫な方ではなくてな、入院中はよくこの公園にきたもんだ」 今は夏休みだというのに子ども一人でさえこの公園にはいなかった。僕とじいちゃんだけ。そもそもなんでじいちゃんは僕をここに連れてきたんだろう。数時間前、病院の待合室で両親からはなれてジュースを買いに行った時。百円玉を入れる手が滑ってしゃがんで拾ったら――僕の前にじいちゃんがいた。
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