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近くにあったベンチに座った。よくみると所々塗料が剥がれかけている。他の遊具も全てそんな感じで、全体的にさびれた雰囲気を出している。
「じいちゃん、誕生日おめでとう」
思ったより小さな声になってしまったけど、じいちゃんは驚いたように目を見開き嬉しそうに笑った。
「そうかそうか。覚えてくれてたのか」
「いくつになったんだっけ」
「ひゃくじゃ」
じいちゃんは少し寂しそうな顔をした。
「やっと百歳になれた」
何かを思い出すように少し目を細めた。
シワだらけのその額には僕と違い汗が一つも浮かんでいない。
今日は今年で一番の猛暑だと朝天気予報のお姉さんが言っていたのを思い出す。
「じいちゃん、帰ろう」
じっと花壇を見つめるじいちゃんが急に怖くなった。じいちゃんは少し困った顔をする。
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