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「うーん、何が良いんだ……あっ、寿命とかどうかな?」
平均寿命が80歳として、その100倍は……8000歳!?
「あっ、嘘! 今のも違う! 小さい頃からの友達とか知り合いとかみんな死んじゃってから何千年も生き続けるとか寂しすぎる! あっ、それじゃ友達を100倍とか? 元々そんなに居ない方だから……」
「了解。お主の現在の友達が3人じゃから……」
「えっ? そんなの分かっちゃうの?」
「フォッフォッフォ。神様パワー舐めたらバチが当たるぞよ」
「疑ってすみません! でも、3人から300人か……。遊ぶ相手には困らなくなるけど、みんなにいい顔しようとして結局深い付き合いが出来ずに人生終わっちゃいそうだよな……」
難しい。難し過ぎる。
何を100倍にするのが正解なのか……。
悔やまれるのは、ちょうどいま給料前ゆえに貯金が5000円ぽっちしか無いことだ。
それを100倍にして貰ったところで50万円にしかならない。
いや、貧乏社会人の身としてその数字だけみればもちろん嬉しいのだが、神様から授かる奇跡の報酬として考えた場合どうなのか、と。
無駄遣いせずに50万円でも貯めていれば、それが100倍で5000万円。
そこまであれば迷い無く貯金100倍でお願いしていたんだけど……あっ、待てよ?
例えば、ずっとボロ負け続きの競走馬の脚力を100倍にして貰って、大穴馬券に全財産をつぎ込めば、それが千倍、万倍になるってことも……。
「ダメじゃ。100倍に出来るのはお前さん自身に関わること限定じゃよ」
あー、辛い~。
自分のポテンシャルの低さが恨めしい~。
例えば、彼女が1人でも居ればそれを100倍で100人彼女という夢のような状況になれたのに、0には何をかけても0のまま。
SNSのフォロワー18人が1800人になった所で何か変わるというのか。
体重を100倍なんてそれこそ意味無いし……と、僕は顔を下に向けて自分の下半身に目をやった。
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