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──翌日。
僕は会社に着くとやるべき雑務をこなし、時間に余裕が出来たところで上司に企画書を提出した。
ソワソワしながら……ではなく、自信満々に堂々と。
「……良いじゃ無いか! うん、素晴らしいアイデアだ。ぜひ、次の会議にかけてみよう!」
「ありがとうございます!」
よっしゃっ!
と、ガッツポーズを決めながらチラッと北川先輩の方を見ると、ニッコリ笑う彼女の口が「やったね!」と動いた。
その日の仕事終わり、僕の企画通過祝いってことで北川先輩の方から食事に誘ってくれた。
2人揃ってお気に入りの店での美味しく楽しいディナーが終わり、駅へと向かう道すがら。
僕は思いきって彼女にこう告げた。
「先輩……僕と、付き合ってください!!」
突然の出来事に驚く北川先輩。
あちゃっ、早まっちゃったか……なんて思いは微塵も無い。
彼女への気持ちはとっくに100%を越えていたし、早まるどころか遅かったぐらい。
これで断られてしまったとしても、後悔なんて全くしない。
なぜなら、“絶好のタイミング”なんてものは誰にも分かりやしないんだから。
もちろん、上手く行って欲しい気持ちはそれこそ1000%を越えているんだけど……。
「……ごめんね」
「……えっ? あっ、いや、そんな謝る必要なんて全く──」
「可愛い後輩に大切な役目をさせちゃって」
「……そ、それじゃ!?」
「うん! こちらこそ、付き合ってください! ずっと好きだったよ!」
「……うひゃー! よっしゃー!! よっしゃよっしゃよっしゃー!!」
「ちょっと、嬉しいのは分かるけどそんな跳びはねたら恥ずかし……よっしゃよっしゃよっしゃー!」
「先輩こそ!」
こうして、僕は大好きな先輩と恋人同士になることができた。
全てはあの神様のおかげ……いや、全てでは無いと思う。
僕が100倍にして貰ったのは勇気。
一歩踏み出す勇気さえあれば、きっとそこには素敵な未来が待ってると信じていたから。
〈終わり〉
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