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「じつを申しますと私、ここへ来る途中事故に遭いましてね、なんと申しましょうか、もうこの世の者ではないんです……ということで、〝怪談を語る死人〟という私自身の話も一話の怪談となりますので、もう一つ、こちらの蝋燭の火も消さないと……フッ…」
ふと見れば、いつの間にか顔の崩れた血塗れの風貌になっている噺家が百本目の蝋燭を吹き消したその瞬間、断末魔のような悲鳴が甲高く響き渡り、真の闇が訪れたその会場は恐慌状態に陥った――。
(百話目の怪談 了)
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