◆夢に向かって

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車に戻り、元来た道をまた走った。 その間、ユリさんは無言だった。 私はユリさんの横顔を見つめ、外の流れる景色を見つめ、自分の行きたい道はどこにあるんだろう、としばし考えていた。 車が高速を降りるちょっと前に、ユリさんがボソッと独り言のようにつぶやいた。 「うーん、今からだとちょっと夕飯には早いか・・・」 私は次の言葉を待った。 「沙耶ちゃん、ちょっと寄り道しよっ」 いたずらっぽく話すユリさんは、唐突に可愛かった。 「は、はい」 車は高速を降りると、国道に出る道ではなく、側道に入って行った。 「どこに行くんですか?」 「お楽しみ・・・」 私は良くわからずに周りをきょろきょろ見ていた。 すると車は突然現れた背の高いビルの下に開いているPと大きく書かれた看板の入り口に滑り込んでいった。そこには「ホテル・プリマヴェーラ」とピンク色のネオンの文字で書かれていた。 「ユリさん・・・こ・・・ここって・・・ラブホテル!?」 「そうよ。ラブホテルって、女同士でも入れるのよ」 私は突然のことに目を丸くして、それでも期待と恥ずかしさでドキドキするだけだった。 1台ずつ入るガレージの中に車を停めると自動でシャッターが降りて、自動アナウンスが「いらっしゃいませ。お車のカギを締めて、正面のドアからお入りください」と言った。 初めての事で、何が何だかよくわからなかったけど、ユリさんの後をついて入って行った。薄暗いネオンがともる廊下を歩いて行くと、パネルがいっぱい並んでいるロビーに出た。そこで、ユリさんは手早くボタンを押し、なにやらレシートのようなものを受け取って奥にあるエレベーターに入って行った。 私もあわてて後をついてエレベーターに乗った。エレベーターが停まった階の廊下には矢印が光り、それについて行くとドアの上のランプが点滅している部屋があり、そこにユリさんは入って行った。 部屋に入ると大きなベッドとソファー、テレビがあり、部屋はおしゃれなリビングのようだった。それでもベッドの大きさが、いままで見たことないくらい大きくて、やはりそういうところなのだろうと思った。 「ゆ・・・ユリさん・・・私、初めてラブホに入りました・・・」 「そうよね、初めてじゃないって言われたら、私がびっくりだわ」 「ユリさんは初めてじゃないんですか?」 「ん、それを聞くのは野暮ってものよ」 「あ、すいません」 「それより、潮風に当たって顔がべとべとでしょ?シャワー・・・一緒にあびましょ?」 「え・・・は、はい」 そう言ってユリさんはカバンを置いて、ウィッグを外し私の手を引いてシャワールームに入って行った。 「うわぁ」 シャワールームが思ったより広くて私は声を上げてしまった。 「ラブホってお風呂も充実しているのよね」 いや、そうですけど・・・ 「さ、入りましょ」 あの・・・私・・・心の準備が・・・ そう思う間もなく、私のワンピースのジッパーを容赦なく下げた。 ユリさんは上に着ていたニットのセーターをスポっと脱ぎ去って、フレアのロングスカートもスパッと脱ぎ、下着姿になった。 私もつられてワンピースを、そのあと靴下を脱いだ。 「沙耶ちゃん、私のブラ、脱がせて?私も沙耶ちゃんの脱がせるから」 そう言って正面から私の背中に腕を回した。 私もちょっとうつむきながらユリさんの背中に手をまわして、ブラのホックを外した。目の前にユリさんの形のいいバストが露わになった。 その向かい側で私の小ぶりふくらみが申し訳なさそうにたたずんでいた。 「沙耶ちゃん・・・」 突然あごクイされた。同時にキスをした。 柔らかな唇が私の唇を覆った。私はもうすっかりユリさんの虜になっていた。 二人でいちゃつきながらシャワーを終え、タオルを巻いてベッドに行った。ユリさんは前より激しく、私を抱いてくれた。 私は・・・わたしはされるがままに・・・本当はもっとユリさんを気持ちよくしてあげたいのに・・・されるがままに何度もイってしまった。 口でも、手でも、お互いのあそこでも・・・ すっかり息が上がってしまっている私に寄り添って、優しくキスをしたあとユリさんがささやいた。 「沙耶ちゃん、寂しい思いをさせてごめんね。また、少し忙しくなりそうなの・・」 「い、いえ。大丈夫です。謝らないでください。ユリさんはユリさんとして輝いているのを見るのが、私の楽しみなんですから」 「ありがとう」 そう言ってまた優しいキスをしてくれた。 私は本当に幸せな気分でいっぱいになった。 ホテルを出て、食事に行き(とっても美味しいフレンチに連れて行ってくれた)車で家の近くの公園の前で降ろしてもらった。 別れ際、ユリさんはまた軽くキスをしてくれて、「また、メッセ送るね」そう言って走り去っていった。 私は車が見えなくなるまで眺めていた。
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